肥大型心筋症の臨床診断と心内膜心筋生検所見の対比検討

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タイトル別名
  • Clinicopathological studies of hypertrophic cardiomyopathy based on endomyocardial biopsy findings
  • -Special reference to apical hypertrophic type-
  • -心尖部肥大型を中心に-

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肥大型心筋症 (HCM) と臨床診断され, 心内膜心筋生検を施行された87例において, 心尖部肥大型 (APH) の臨床像および病理組織所見を他の病型と比較検討し, HCMにおける位置づけを試みた. 対象は非対称性肥大 (ASH) や左室流出路狭窄のないAPH (APH only) 28例・肥大型非閉塞性心筋症 (HNCM) 49例・肥大型閉塞性心筋症 (HOCM) 10例である. 臨床像としては, 家族歴, 高血圧症の既往, 長期経過および予後 (アンケート調査), 心電図所見, 左室造影所見を主として検討した. また生検所見は, 細胞肥大とDisarrayの程度で4段階に区分した上でスコアー化して検討し, 以下の結果を得た. (1) 有意な病的肥大と判定されたのは, APH onlyで47%と他の病型と出現頻度に差を認めなかった. この肥大様式は二次的にも起こり得るが, 臨床所見および病理組織所見より, 背景には心尖部が限局性に肥大することに関与する素因, 遺伝性を無視できないものと思われ, HCMの一型として捉えられるべきものと考えられた. (2) APH onlyでは左室生検が右室生検に比し所見陽性率が有意に高く, 全例でみても同様の傾向を認め, 肥厚した左室より数カ所生検を行うことが診断率を高めるためにも望ましいと考えられた. (3) 平均11.3年の経過観察において, 追跡可能であった18例のAPH only群に死亡例はなく予後は良好であった. しかし, 心合併症の出現は無視できないものであり, 今後更に長期の経過観察をおこなう上で十分留意する必要がある. (4) APHの左室造影による計測所見と心電図所見の検討から, APHにおける陰性T波の深さは, 心基部から心尖部に向かう不均等な肥大にも関与していると考えられた.

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