競技成績の停滞によって生じる抑うつ反応とコーピング

  • 中島 宣行
    順天堂大学スポーツ健康科学部体育心理学研究室
  • 山田 泰行
    順天堂大学スポーツ健康科学部体育心理学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Depression and Coping due to Stagnation in Athletic Achievement
  • キョウギ セイセキ ノ テイタイ ニ ヨッテ ショウジル ヨクウツ ハンノウ ト コーピング

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抄録

目的: 競技成績の停滞が大学生アスリートの抑うつ反応に及ぼす影響を明らかにするため, 競技成績の停滞がもたらす抑うつ反応と, その抑制に関連するコーピングについて検証した. 対象: 本研究の対象者は体育系大学の運動部に所属する大学生545名であった. 有効回答率は89%であり, 最終的に得られた有効データは487名 (男321名, 女166名) であった. 対象とした競技種目は, 陸上, 水泳, バスケットボール, バレーボールなどさまざまであった. サンプルの平均年齢は19.8歳 (SD=1.23) であった. 方法: 2004年に体育系大学の運動部に所属する大学生を対象として質問紙調査を行った. 質問紙は成績の停滞状況に関する項目と, 競技ストレス・コーピング尺度 (成績停滞状況用), 自己評価式抑うつ尺度 (SDS) で構成された. 結果: 競技成績停滞群と向上群を比較した結果, 停滞群において〈抑うつ〉, 〈睡眠困難〉, 〈疲労〉, 〈精神運動性減退〉, 〈希望の無さ〉, 〈不決断〉, 〈自己過小評価〉, 〈空虚〉, 〈不満足〉の値が有意に高かった (p<. 05). これらの抑うつ反応項目のいくつかに対して, 男女の「回避志向」と女子の「体面執着志向」は促進的に (r≧. 20, p<. 05), その他のコーピングは抑制的に作用するという結果が得られた (r≦-. 20, p<. 05). 結論: (1) 競技成績の停滞状況下では, SDSにおける抑うつ, 疲労, 自己過小評価などの抑うつ傾向がみられることが確認された. (2) 男女における回避志向と, 女子の体面執着志向はSDSの抑うつ傾向を促進するネガティブなコーピングであった. (3) 男子の自信誘発志向や受容, 女子の問題解決志向や肯定的思考への変換志向はSDSの抑うつ傾向を抑制するポジティブなコーピングであった.

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参考文献 (45)*注記

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