先天性角化異常症

書誌事項

タイトル別名
  • An attempt to analyze the pathogenesis of congenital keratinization disorders, and the future prospects of gene therapy for the patients in our out-patient department
  • -病態解明へのアプローチと治療への展望-

抄録

皮膚は外界からのダメージに対して生体を保護し, 体内からの水分蒸発を防ぐ働きがあります. 主たる役割を有する場所は表皮であり, ダメージに対抗するため, 細胞骨格, 膜骨格などを有しています. 遺伝的な要因で「表皮バリアーの準備が十分にできない」という事態を生ずれば, 先天性角化異常症 (角化症) という病気が起こります. 私は, このような角化症の病態生理・分子生物学的な解析に携わってきた経験を生かし, 角化症の原因となる〈細胞骨格・膜骨格の異常〉について動物モデルを作成し, 今後の病態解明・遺伝子治療などに役立てる試みを行って参りました. これらの動物モデルは, 今後の先天性皮膚疾患の患者に対するex vivo伝子治療を考える上でも大変有用と思われます. すなわち本療法は, 表皮基底層の幹細胞 (stem cell) を見つけて培養, ノックイン法の技術により疾患遺伝子を正常遺伝子で置換します. そして, 悪い遺伝子を取り除いた培養表皮シートを使って患者さんの表皮を植え変えてしまう方法です. 表皮シートは患者本人由来ですから, 拒絶されることはありません. このため, 本療法は皮膚科領域の中では最も理想的な方法と考えられ注目されています.

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参考文献 (20)*注記

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