幽門洞胃炎よりみた微小胃癌の病理組織学的研究

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  • Histopathological Study on Minute Cancers Associated with the Autrum Gastritis.
  • ユウモン ドウイエン ヨリ ミタ ビショウ イガン ノ ビョウリ ソシキガクテ

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抄録

胃癌の発生母地に関しては古くから胃ポリープ, 胃潰瘍, 慢性胃炎が重視されていた. しかし近年胃癌の診断学が進歩した現在, 多くの切除胃が得られるようになると, 胃癌発生母地としての胃ポリープ及び胃潰瘍そのものの重要性が疑問視されるようになってきた. そこで著者は小さな胃癌の胃粘膜の状態ほどその癌が発生した時点の状態を温存しているという前提のもとに, 長径が5mm以下の早期胃癌である微小胃癌に着目し, その幽門洞胃炎のパターンから主として高分化型胃癌の発生母地を推定した. 対象は微小胃癌を含む高分化型早期胃癌92例 (98病巣), 各種良性疾患110例, 対象群25例, 異型上皮8例を用い検討した. その結果, 隆起型早期胃癌ではI型と胃ポリープ, IIa及びIIa+IIc型と異型上皮との関係が深く, 陥凹型早期胃癌では病巣内に浅い潰瘍を合併するものでは潰瘍非合併例からの二次的潰瘍化によるものが多く, 深い潰瘍を合併するものでは良性潰瘍のサイクル中からの癌化によるものが多いとの推論を得た. また平坦型及び病巣内潰瘍非合併陥凹型早期胃癌については, 隆起型早期胃癌も含め腸上皮化生との深いつながりを有するとの結論を得た.

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