公定薬価と市場での取引価格の差に影響を与える因子の検討

  • 髙山 茜
    北里大学大学院薬学研究科 臨床医学 (医薬開発学)
  • 成川 衛
    北里大学大学院薬学研究科 臨床医学 (医薬開発学)

書誌事項

タイトル別名
  • Investigation of Factors Affecting the Degree of Price Gap Between the National Health Insurance Reimbursement Price and the Acutual Market Price of New Drugs
  • コウテイ ヤッカ ト シジョウ デ ノ トリヒキ カカク ノ サ ニ エイキョウ オ アタエル インシ ノ ケントウ

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抄録

<p>薬価収載されて以来, 初めての薬価が改定された時点での医薬品の薬価と市場での取引価格との差異に影響を与える因子について研究した. 2004年10月~2014年12月の期間に薬価収載された303品目の新有効成分含有医薬品のうち, 新薬創出・適応外薬解消等加算が適用された品目, 再算定を受けた品目を除く104品目を研究対象とした. 研究対象品目について, 薬価収載されて以来, 初めて薬価が改定された時点での薬価と市場での取引価格の差異 (推定乖離率) を算出した. 競合品目数の多い領域に属する品目では, 競合品目数の少ない領域に属する品目に比べ, 推定乖離率は大きかった (p=0.0001). 市場環境の変化により, 常に変動している市場で取り引きされる医薬品価格に基づき, 既収載医薬品の薬価を定期的に改定する我が国の薬価制度は, 医薬品の市場価値を定期的に見直す機会を与え, 市場価格の変動を公定薬価に反映するための有用な制度であると考えられる. 医薬品市場を, 製品の価値に見合う利益を獲得できる市場とするためにも, 個々の医薬品の価格が医薬品の臨床上の価値を表す指標となるよう, より良い薬価基準制度を検討するとともに, 医薬品の価値に見合った市場実勢価格が維持されるよう, 流通改善に継続して取り組むことが重要である.</p>

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