暖地型牧草の越冬性に関する研究 : 第1報 播種期を変えて秋播きしたダリスグラス(Paspalum dilatatum Poir.)およびバヒアグラス(Paspalum notatum Flugge.)の初冬に至るまでの乾物の生産および分配

書誌事項

タイトル別名
  • Studies on Winter Survival of Tropical Grasses : I. Dry matter production and its distribution of autumn seeded dallisgrass (Paspalum dilatatum Poir.) and bahiagrass (Paspalum notatum Flugge.) during autumn and early winter
  • (Paspalum notatum Flugge.)の初冬に至るまでの乾物の生産および分配
  • Paspalum notatum Flugge. ノ ショトウ ニ イタル マデ ノ カンブツ ノ セイサン オヨビ ブンパイ

この論文をさがす

説明

秋播きしたダリスグラス,バヒアグラスの越冬性について知る目的で,8月中旬,9月上旬,10月上旬に播種し,冬の生育停止期に至るまでの苗令,乾物生産,乾物分配の変化を調査した。結果は次のとおりである。1.播種期が遅いほど,温度の低下により出葉速度が遅くなり苗令の増加が抑制される。また苗令の増加は葉への乾物の分配の低下により抑制される。また,ダリスグラスでは第9葉期に幼穂の形成がみとめられ,バヒアグラスでは第13葉期以後に生長点に止葉の形成がみとめられ,出葉速度は小さくなる。2.乾物重の増加は第3葉期までは播種期による差,すなわち,温度の影響はほとんどないが第6葉期をすぎる頃から温度の影響があらわれる。播種期が早い場合は増加速度が大きいが,播種期が遅いと極めて小さく,その低下はバヒアグラスに比べてダリスグラスの方が大きい。3.温度の低下にともなって乾物分配率は葉身へは小さくなり,根へは増加し,貯蔵型の分配となるため,物質生産には不利な態勢となる。また分配率は第6葉期以後に温度の影響を強く受け,高温は生産型指向に,低温は貯蔵型指向に作用し,後者の場合,生産速度は低下する。4.以上の結果から秋播きする場合,乾物増加速度の大きくなり得る第6葉期前後以後に,ある程度高い温度期間が持続され,乾物の生産および蓄積がある程度行なわれた後に,温度低下により,各貯蔵器官への分配が高まるような生育を行なうことが越冬に有利であると推察される。従って,播種期が遅延しないよう留意すべきであろう。

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ