イタリアンライグラスとローズグラスの不耕起連続栽培に関する研究 : 第3報土壌の粗密がローズグラスChloris gayana KUNTHの生育収量に及ぼす影響

書誌事項

タイトル別名
  • Studies on Establishment of Italian Ryegrass-Rhodes Grass Pasture by Sod-sowing Method : 3. Influence of Soil Compaction on Growth and Yield of Rhodes Grass, Chloris gayana KUNTH
  • 土壌の粗密がローズグラスChloris gayana KUNTHの生育収量に及ぼす影響
  • ドジョウ ノ ソミツ ガ ローズグラス Chloris gayana KUNTH ノ セイイク シュウリョウ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

不耕起栽培を長期間継続すると,土壌が堅くなって通気性などの物理的性質が悪化し,牧草の高位生産が阻害される懸念がある。その点を明らかにするために,土性を異にする火山灰土壌(土性L,SiCL)で,トラクタ車輪による表層踏圧によって土壌粗密処理区(粗,中,密)を設け,ローズグラスの生育反応を調査した。その結果ローズグラスの生育収量は,L,SiCL両土壌ともに密な区ほどよく,その傾向は特に1番刈り収量で顕著に認められた。地表下約15cmまでの大孔げき量は密区でもSiCL土壌で13〜16%,L土壌で6%程度であり,密区の容気量は降水量の多かった時期でも10%以上であった。またローズグラスの根は密区の堅い土層へも充分貫入し,その分布にも処理間に顕著な差は認められなかった。土壌有効水分は密な区ほど多く,また施肥後20〜50日目の土壌中の無機態窒素含有量は密な区ほど,根の多く分布する表層に多く,下層で少なかった。これらの結果から,密区でも通気性不良および土壌硬度の増大による生育阻害はなかったものと思われ,したがって密な区ほどローズグラスの生育収量がまさったのは,表層土の有効水分および無機態窒素含有量が粗区より多かったことが主因と考えられる。密区土壌の物理性は,1〜2年間不耕起栽培した跡地土壌のそれとほぼ同じとみられるから,イタリアンライグラスとローズグラスによる不耕起栽培を1〜2年,小型作業機を利用する場合にはそれ以上継続しても,少なくとも火山灰畑地では土壌の緊密化がローズグラスの生育を阻害することはなく,土壌の物理性だけからみれば,むしろ生育に好適な土壌条件となろう。

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