サイレージ用麦類に対する窒素施用量と収量・乾物消化率との関係

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タイトル別名
  • The Effect of Nitrogen Fertilization on Yield and Dry Matter Digestibility of Fall-sown Cereal Crops for Silage
  • サイレージヨウ ムギルイ ニ タイスル チッソ セヨウリョウ ト シュウリョウ

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抄録

窒素施用量の相違がサイレージ用麦類の収量・人工乾物消化率(DMD)に及ぼす影響を調査した。供試した麦は6条皮麦・2条皮麦・〓麦・小麦・ライ麦の各1品種で,第1年次は畑で,窒素を0,1.6,1.8kg/aの3水準,第2年次は裏作水田で窒素を0.25,0.85,1.7kg/aの3水準,第3年次は畑で2条皮麦のみを用い,窒素を0.5,0.65,0.8,0.95,1.1,1.25kg/aの6水準で栽培した。収穫は各年次とも乳熟期前に行なった。(1)乾物収量からみた窒素施用量の上限は,肥沃な畑では1.5kg/a程度,あまり排水のよくない裏作水田では1.7kg/a以上と推定された。(2)窒素増施に伴い葉身の重量割合が増し,茎穂の重量割合が減少した。(3)作物体の各部位および全体のDMDは,窒素増施により必ずしも明確な変化を示さなかったが,あまり変化しないか,わずかに減少するものが多かった。(4)茎の重量割合が大きいので,窒素増施による全作物体のDMDの変化は,茎のDMDの変化に平行した。(5)第3年次の試験で,各部位のDMDの窒素施肥による変化は,細胞内容物の消化率を一定と仮定すると,細胞壁の消化率の変化に支配されると考えられた。細胞内容物と細胞壁との比率の窒素施肥による変化は,茎で一定の変化を示し,DMDにわずかに影響を及ぼした以外には,明らかな傾向はみられなかった。細胞壁の消化率は窒素施肥により葉身・茎で減少し,穂で増加した。この変化は葉身と穂ではacid detergent lignin含量の窒素施肥による変化に対応していた。(6)窒素増施により可消化乾物収量が増加し,これは乾物収量の増加に依存していた。

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被引用文献 (1)*注記

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