ラジノクローバーサイレージ熟成中における核酸塩基の消長について

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タイトル別名
  • The Fate of Nucleic Acid Bases in Ladino Clover during Ensilage
  • ラジノクローバーサイレージ熟成中における核酸塩基の消長について〔英文〕
  • ラジノクローバー サイレージ ジュクセイチュウ ニ オケル カクサン エンキ

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抄録

従来報告されているサイレージ中の未同定窒素の一部を明らかにするため,核酸塩基の定量を行った。異なる品質のサイレージをうる目的で,ラジノクローバーにグルコース,蟻酸およびホルムアルデヒドを添加し,無添加を含め4種類のサイレージを調製した。1.グルコース添加により発酵品質は著しく向上したが,無添加サイレージも酪酸を含まず良質であった。2.発酵抑制剤である蟻酸およびホルムアルデヒドの添加は,前者が有効であったのに対し,後者では著しい酪酸およびアンモニアの生成がみられ,サイロ間の差も大きかった。3.ラジノクローバー中窒素の7.3%が核酸態窒素だった。サイレージ熟成中の核酸の分解は蟻酸添加サイレージがもっとも低く(68%),無添加サイレージがもっとも高く(85%),ホルムアルデヒド添加サイレージを除く3種類のサイレージの間に有意差が存在した。残存するDNAとRNAの比はサイレージ品質にかかわりなく一定(r=0.87,P<0.01)であった。4.グアニンの増加は,定量できなかったホルムアルデヒド添加サイレージを除き,核酸の分解と傾向的に一致した(r=0.95,P<0.01)。アデニンはグアニンに比し不安定だった。分解された核酸の遊離プリン塩基中への回収率は平均15%にすぎかった。5.サイレージ熟成中に遊離ピリミジンが増加した。妨害物質の存在により定量はできなかったが,最大吸収波長によれば,シトシンおよびウラシル含量は核酸の分解(r=0.93,P<0.01およびr=0.80,P<0.01)およびグアニン含量(r=0 90,P<0.01およびr=0.74,P<0.05)と相関を有した。6.生草およびサイレージ中のニュクレオチドの測定はできなかったが,ニュクレオシドは存在しなかった。7.生草および無添加,グルコース添加,蟻酸添加およびホルムアルデヒド添加サイレージの非蛋白態窒素中には,ペプチド,アミノ,アミド,アミン,硝酸,アンモニアおよびプリン態窒素のほかに,全窒素当りそれぞれ3.9,7.2,5.8,3.8および6.1%の未同定窒素が存在した。このうちのかなりの部分はピリミジンによって占められるものと思われる。

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