飼料用トウモロコシ交雑種における茎葉部の消化性の品種間差異

書誌事項

タイトル別名
  • Varietal Differences in Digestibility for Stover of Forage Hybrid Maize (Zea mays L.)
  • シリョウヨウ トウモロコシ コウザツシュ ニ オケル ケイヨウブ ノ ショウカ

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説明

黄熱期における茎葉部の消化性や栄養価などの飼料としての品質についての品種間差を明らかにするため,極早生から晩生までの熱性の異なる代表的な市販流通交雑種35品種を用いて1984,1985年の2年間圃場試験を実施し,また1986年に未流通系統を含む144の交雑種を材料にして圃場試験を実施した。黄熟期の茎葉部(茎+葉+苞皮)を酵素分析し,品種間差異とそれに影響する要因並びに,収量性,耐倒伏性,耐病性などの主要形質との関連について検討した。35品種2ヶ年の成績からは,茎葉中の細胞壁物質(OCW),黄熟期迄日数,乾物生産速度とホールクロップにおける推定可消化有機物(DOM)に1%水準で有意な品種間差が認められたが,年次間の差も顕著であった。一方,乾物雌穂重割合は品種,年次間ともに有意差が認められなかった。144の交雑種の間で見ると,すべての酵素分画で有意な品種間差が認められた。低消化性繊維(Ob)のレンジは24%であり,細胞内容物(OCC),高消化性繊維(Oa),Obの変動係数は乾物雌穂重割合のそれと同等かそれ以上であった。茎葉部のOCCやDOMが少なくOCWやObの多い品種は乾物雌穂重割合が高く,生育期間中の1日当り平均乾物生産量が高く,晩生の品種に多い傾向が認められた。茎葉部のObはホールクロップのDOMに対し,いずれの年次でも乾物雌穂重割合と同等かそれ以上の相関を示した。茎葉部のOCW消化率が高く繊維の品質が優れた品種ほど倒伏割合や病害に対する罹病程度が高いといった傾向は認められなかった。以上のことから,飼料用トウモロコシ交雑種の茎葉部の消化性は同じ黄熟期収穫であっても品種間で差があり,また茎葉部の栄養価がホールクロップの栄養価に及ぼす影響は雌穂重割合に比べて小さくないと考えられた。茎葉部の品質の品種間変異には"source-sink"関係や熱性やグレイン用品種の育成過程で加えられた選抜の間接的な影響があるものと推察された。

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