Brown midrib-3 トウモロコシ交雑種の栽培特性及び茎葉部の成分と消化性

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タイトル別名
  • Agronomic Traits and Nutritive Value of Stover in Brown Midrib-3 Maize Hybrids
  • Brown midrib-3 トウモロコシ コウザツシュ ノ サイバイ トクセ

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説明

Brown midrib-3遺伝子(bm_3)が,交雑種の生育・収量並びにホールクロップサイレージの原料特性に及ぼす影響を明らかにするためbm_3交雑種の栽培試験を行った。供試系統は(正常型近交系〔S_4〕×bm_3近交系〔S_6〕)×bm_3近交系〔S_1〕の3元交雑種2系統で,種子親の2系統はアメリカの黄色デント種に,花粉親は東欧の白色フリント種に由来し,これらの母本の遺伝的背景は異なっている。栽培試験は播種日1987年5月28日,栽植密度625本/aで実施した。表現型の発現を確認して間引き,表現型別に群落を作って黄熟期に収穫し,表現型の間の差を検討した。初期生育と熱性には明らかな差がなかった。稈長,着雌穂高,倒伏・折損割合は,母方の一代雑種の種子親によって異なる傾向が認められた。乾物収量は,正常型に比べbm_3表現型では10〜20%低下し,単位面積当たりの雌穂本数も減少したが,ホールクロップの乾物中の子実割合には明らかな傾向は見られなかった。黄熟期におけるホールクロップの水分は,正常型と同程度で,茎葉部の細胞内容物と細胞壁物質(OCW)の割合,NDF,ADF,シリカには明らかな傾向は見られなかった。一方低消化性繊維(Ob)は各々6%程度低く,ADLも約2%低下,OCW消化率は約10%上昇し,推定可消化有機物含量は平均4%上昇した。絹糸抽出期の地上部について,ルーメン内での乾物消失率を,去勢ホルスタインを用いたナイロンバッグ法による24時間浸漬処理で比較すると,bm_3表現型が平均4%高かった。これらのことから,この遺伝子は,茎葉部及びホールクロップのサイレージ原料としての乾物中の栄養価を4%程度,繊維の消化率を10%前後高めるが,一方で遺伝的背景の異なるbm_3を用いても,同型接合体では乾物収量が15〜20%減少することがわかった。従ってbm_3を利用した交雑種の育成に際しては,母本の組み合わせ能力の向上並びに遺伝的背景の供与系統の乾物生産力を特に重視する必要があると考えられる。

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