中国北西部の黄土高原におけるカンスーモグラネズミ(Myospalax cansus LYON.)の塚が低木ステップの植生におよぼす影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of Mounds of Cansu Mole-rat (Myospalax cansus LYON.) on Shrub-steppe Vegetation in the Loess Plateau, North-west China
  • 中国北西部の黄土高原におけるカンスーモグラネズミ(Myospalax cansus Lyon.)の塚が低木ステップの植生におよぼす影響〔英文〕
  • チュウゴク ホクセイブ ノ オウド コウゲン ニ オケル カンスーモグラネズミ

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説明

カンスーモグラネズミによって作られた塚が低木ステップの植生におよぼす影響を明らかにするために,黄土高原の西部に位置する寧夏回族自治区海原県の南華山の草地において,1989年と1990年に植生調査を行った。主成分分析法を植生データに応用して座標ずけを行った。植生と環境要因との関係を検討するために,Spearmanの順位相関係数を求めた。また,土壌を採取し,分析した。なお,この研究は,黄土高原の緑化に関するプロジェクトの一部として行われた。葡匐茎をもつ Trigonella ruthenica (花首蓿,マメ科)や Potentilla tanacetifolia (菊葉委陵菜,バラ科)が新旧の塚で,Thymus mongolicus (百里香,シソ科)が新旧の塚で高い被度を示した。一方,塚で低い被度を示したのはArtemisia (ヨモギ類,キク科)の植物であり,'これらは土壌の撹乱にたいする抵抗力が小さいものと推察された。座標ずけの結果では,第一と第二主成分は,それぞれ北斜面内での塚のタイプと,斜面の方位に関連していた。モグラネズミの塚が多数あった北斜面と比較して,塚がない西斜面では炭酸カルシュウムの蓄積が認められた。平坦地でのpHとカルシュウムの垂直分布は土壌水分の動態と関連していた。モグラネズミは植生だけでなく,土壌表層の構造も破壊していた。塚の大きさの平均値(1.84m^2)からして,塚形成により影響をうけた面積は全体の15%に相当した。塚の再植生化と,モグラネズミの防除とその天敵との関係について考察した。

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