ビワ果実における寒害発生気温の品種差について

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  • Varietal Assessment of Threshold Air Temperatures for Cold Damage in Loquat Fruit

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抄録

温暖化の進行により,ビワ適地の変化が想定されるため,正確な適地判定の必要性が高まっている.本研究では過去の冬季の気温の経過から,ビワ栽培が可能であるかどうかを判定する技術を開発するため,4 つの主産県(千葉,香川,長崎,鹿児島)の圃場において数年間,寒害の発生程度を調査し,気温との関係を分析した.幼果の生存率は,年最低気温に対し,品種ごとに有意な正の相関が認められた.この線形回帰式から‘田中’,‘茂木’,‘なつたより’,‘長崎早生’,‘はるたより’,‘ビワ長崎 21 号’について,それぞれの寒害発生気温(生存率 80%になる気温)が得られた. このうち‘田中’の寒害発生気温は最も低いため,耐寒性は高いと認められ,一方,‘長崎早生’や‘はるたより’の耐寒性は比較的低いと考えられた.‘田中’と‘長崎早生’について,寒害発生の可能性がある気温の上限値を基準として適地判定を行うと,適地の分布は実際の産地と適合した.このことから本研究で得られた寒害発生温度は両品種の現在の適地判定や将来の適地予測に利用可能であることが示唆された.

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