デンドロビウム雑種 4 品種の花色に対する 8 つのアントシアニン生合成系遺伝子の塩基配列と発現の効果について

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  • Effects of Sequence and Expression of Eight Anthocyanin Biosynthesis Genes on Floral Coloration in Four <i>Dendrobium</i> Hybrids
  • Effects of Sequence and Expression of Eight Anthocyanin Biosynthesis Genes on Floral Coloration in Four Dendrobium Hybrids

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抄録

アントシアニン生合成の制御機構を解明することは,デンドロビウムの生産振興に向けた遺伝的改良に有用である.本論文では,紫,桃色,白,緑白色の花色を持つデンドロビウム雑種から,アントシアニン生合成系遺伝子である chalcone synthaseCHS),chalcone isomeraseCHI1CHI2flavanone 3-hydroxylaseF3H),dihydroflavonol 4-reductaseDFR),anthocyanidin synthaseANS),flavonoid 3′,5′-hydroxylaseF3′5′H),flavonol synthaseFLS)の完全長 cDNA を単離し,そのアミノ酸配列と遺伝子発現強度を解析することで,雑種の花色バリエーションにかかわる潜在的原因を推測した.桃色の雑種(‘Sirin classic’)は、flavonoid 3′-hydroxylaseF3′H)遺伝子の変異によってシアニジン系アントシアニンからペラルゴニジン系アントシアニンになったことで色合いの変化が,また CHI1CHI2 の発現レベルの低下によって色が淡くなったことが推定された.さらに,白色の雑種(‘Suree white’)は,F3H 内の複数の変異,および/あるいは FLS(アントシアニンの中間産物をフラボノールに変換する酵素遺伝子)の高発現がもたらした結果であると推定された.もう一つの白色雑種(‘Jasmine white’)では,F3HDFRANS 発現の同時抑制が観察されたことから,アントシアニン生合成系遺伝子の制御系の変異によって花色が白色になる可能性が示唆された.さらに,濃淡の花色を呈する雑種変異体の解析により,アントシアニン生合成系遺伝子の発現強度が花色の濃淡に影響を及ぼしていることが明らかになった.本研究によりもたらされた知見は,今後ランの花色育種に新しい戦略を与えうる成果であると考えられる.

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