日本のワサビ属植物(<i>Eutrema japonicum</i> and <i>E. tenue</i>)と中国の近縁野生種(<i>E. yunnanense</i>)における遺伝的分化,分子系統解析および民族植物学的研究
書誌事項
- タイトル別名
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- Genetic Differentiation, Molecular Phylogenetic Analysis, and Ethnobotanical Study of <i>Eutrema japonicum</i> and <i>E. tenue</i> in Japan and <i>E. yunnanense</i> in China
- Genetic Differentiation, Molecular Phylogenetic Analysis, and Ethnobotanical Study of Eutrema japonicum and E. tenue in Japan and E. yunnanense in China
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抄録
本研究では,ワサビを含む日本のワサビ属植物 2 種(Eutrema japonicum および E. tenue)とその近縁野生種である中国の E. yunnanense の間の遺伝的分化の程度を明らかにした.葉緑体 DNA の trnK/matK 領域の塩基配列を解析し,アブラナ科有用植物 16 種とあわせて近隣接合法(NJ 法)および最節約法(MP 法)にて分子系統解析を行ったところ,上記 3 種のワサビ属植物は単一クレードを形成した.なかでも日本のワサビ属植物 2 種はほとんど配列に違いがなく,E. yunnanense とは別に単一クレードを形成し,日本と中国のワサビ属植物は,約 500 万年前に分岐したことが明らかとなった.このことは日本のワサビ属植物 2 種が日本固有種であることを支持し,かつ栽培ワサビが中国から日本へ持ち込まれたことを否定している.つまり今回,ワサビが日本で栽培化された植物であることが明らかとなった.また,筆頭著者らが 2007 年に行った中国雲南省における民族植物学的調査から,E. yunnanense は地上部が利用されていたものの,栽培はされておらず,日本のワサビのような辛みがないことが明らかになった.以上の結果から,日本のワサビ属植物の辛み成分は,数百万年をかけて得られた進化の産物であり,日本ではこうした特徴的な成分を香辛料として利用することで,日本独自の食文化の形成につながったことが明らかとなった.
収録刊行物
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- The Horticulture Journal
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The Horticulture Journal 85 (1), 46-54, 2016
一般社団法人 園芸学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205760034048
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- NII論文ID
- 130005121332
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- NII書誌ID
- AA12708073
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- ISSN
- 21890110
- 21890102
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- NDL書誌ID
- 027040043
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- Crossref
- CiNii Articles
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可