日本企業の東アジア圏研究開発配置 : 実態及びその論理の探究

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  • International R&D organization in East Asia by Japanese manufacturers
  • ニホン キギョウ ノ ヒガシアジアケン ケンキュウ カイハツ ハイチ ジッタイ オヨビ ソノ ロンリ ノ タンキュウ

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抄録

本稿は、日本の製造業企業が、本国拠点と海外量産拠点とにどう研究開発活動を配置しているのか、実態を解明するとともに理論的な考察を行うものである。近年、日本の製造業企業は、海外での研究開発活動は高度化させつつあるが、我々はその論理はおろか、活動内容の実態についても断片的な知識しか持っていない。そこで本稿は、東アジアに国際展開する日系製造業企業33社に訪問調査を行い、(1)東アジアの海外量産拠点のうち、約6割が、工程開発や製品開発といった研究開発活動に乗り出していること、(2)その一方で、7割以上の企業では、本国に量産から基礎研究まで一式の技術を維持していたこと、(3)本国と海外の研究開発国際配置パターンについては、本国中心型、本国・海外分業型、本国・海外重複的高度化型の3パターンが存在することを明らかにした。さらに本稿は、国際化の背景にある論理を定性的データから探り、日系製造業の多くは、本国拠点は継続的に技術進化していくことを前提としており、海外は本国に足りない工数のカバーであったり、顧客適合、現地適合のための研究開発活動と位置づけられていることを明らかにした。ここから考察を深めると、本国拠点には継続的進化のための動的能力の高さを、海外拠点にはコスト競争力や資源の豊富さといった静的能力の高さを期待するという、日本企業に固有な、組織能力の質的違いに基づく国際配置の論理が抽出される。

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