組織的文化とTQMの実行 : スリランカの公共病院の事例研究

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タイトル別名
  • Organizational Culture and TQM Practices : A Case Study of a Sri Lankan Public Sector Hospital

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抄録

この研究はスリランカの公共病院においてTQMがどのように実行されているかを検証することを目的としている。その実行プロセスの中で、組織文化の変更が、TQMの実践にどう影響しているかを明らかにしたい。この現象を分析するにあたっては、ハバーマスの研究の調査方法を用いた。調査から、病院組織内の文化の変容は、持続的な改善を目指すTQM診療の導入プロセスの中で起きていたことが明らかになった。病院組織において結合力と、TQMの実行成果とは、相互に関係し、時間とともに診療サービスの向上に成果を残した。具体的には、当該病院は、2000年から、innovativeプログラムとして、日本の5-SベースのTQM活動を導入し始めた。一般的にスリランカのような途上国では、経営管理層が新しい管理方法を導入することが困難であるといわれているが、彼らは、次第にその根本が管理組織の問題にあることを認識し、TQM活動の導入過程で職場の従業員の参加を促し、意識を変えていった。現場の組織管理面での改革も促し、一連の取り組みの結果として、当該病院は国家レベルの生産性から見て良質な成果を残すことができた。事例から、途上国における新たな管理手法の導入局面において、組織文化に梃子入れすることの必要性が示唆される。このことを念頭に入れた同国や他の途上国の公共部門における組織改革に応用ができると考える。更なる研究課題として、スリランカの民間病院との比較が残されている。

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