「逆徒」の遡及的形成

書誌事項

タイトル別名
  • The Retroactive Construction of “Rebels”: Law and Subjectivity in Hiraide Shū's <i>Gyakutō </i>(The Rebels)
  • 「逆徒」の遡及的形成 : 平出修「逆徒」における法と主体
  • 「 ギャクト 」 ノ ソキュウテキ ケイセイ : ヒライデシュウ 「 ギャクト 」 ニ オケル ホウ ト シュタイ
  • ――平出修「逆徒」における法と主体――

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説明

<p>本稿の目的は、大逆事件裁判を描いた平出修「逆徒」を心理小説として読むことで、裁判に対するこの小説の抵抗戦略を明らかにすることである。一九〇七年の刑法改正による裁判の変質を背景に、大逆事件裁判は犯罪事案の存否より被告の思想信条を争点としていた。被告の内面を心理小説という形式によって切開し、「大逆」の「信念」の所在/不在を問うことにこの小説の狙いがある。「逆徒」は、被告の心理表象を通して、死刑判決に先立って「信念」をもった無政府主義者が存在したのではなく、被告を無政府主義者と認定し死刑判決を下す行為こそが無政府主義者を遡及的に生み出したという司法権力の行為遂行性を可視化している。</p>

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