商標の普通名称化問題における言語学的論点 : ウォークマン事件を題材に

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  • A Linguistic Analysis of Trademark Genericization : A Study of the Austrian Walkman Decision
  • ショウヒョウ ノ フツウ メイショウカ モンダイ ニ オケル ゲンゴガクテキ ロンテン ウォークマン ジケン オ ダイザイ ニ

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抄録

本稿は,商標の普通名称化の司法判断における言語学的論点を分析する.題材として,2002年のオーストリア最高裁において,商標Walkmanに関して普通名称化を理由に,ソニーは同商標を独占的に使用できないとした裁定を扱う.法的に商標が普通名称として判断されるに際しての言語学的論点として,以下の二点に焦点を置く.第一に,商標である語が類似商品の総称として使用される現象(以下「普通名称的使用」)が,商標にあたる語が普通名称化したと判断するに当たっての十分条件ではないことを明らかにする.普通名称として使用されている商標でも商標認識が高ければ,語が商標と普通名称という両義性を持ち,解釈においては発信者が誰であるかによって両義性が使い分けられる可能性が高いことを提示する.第二に,司法判断の場で辞書による記載が商標が普通名称化したことの論拠として使用されることに関する問題点を,辞書の目的と記載基準の観点から指摘する.

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