災害情報の活用支援を目的としたソーシャルメディアGISに関する研究 : 平常時から災害発生時における減災対策のために

書誌事項

タイトル別名
  • Study on a Social Media GIS to Support the Utilization of Disaster Information : For Disaster Reduction Measures from Normal Times to Disaster Outbreak Times
  • サイガイ ジョウホウ ノ カツヨウ シエン オ モクテキ ト シタ ソーシャル メディア GIS ニ カンスル ケンキュウ : ヘイジョウジ カラ サイガイ ハッセイジ ニ オケル ゲン サイ タイサク ノ タメニ

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抄録

本研究は,地域住民と行政が提供する災害情報をGIS(Geographical Information Systems)ベースマップ上でマッシュアップするとともに,これらを分類・提供して地域住民等の活用を支援することにより,平常時から災害発生時における減災対策のためのソーシャルメディアGISを設計・構築して,運用・運用評価まで行うことを目的とした。本研究の結論は,以下の3点に要約することができる。(1)Web-GIS,SNSを統合し,投稿情報分類機能を組み込んだソーシャルメディアGISを設計・構築した。位置情報や内容に応じて投稿情報を色別の半透明の円で描画することと,現在地情報に基づいた情報表示を行うことにより,平常時のみならず情報過多となる災害発生時を想定した減災対策のための情報活用支援システムを提案した。運用対象地域として東京都調布市を選定し,現状調査を行った後にシステムを詳細に構成するとともに,本運用前に運用試験とその評価を行って改善点を抽出してシステムを再構成した。(2)本運用は調布市の18歳以上を対象として7週間行い,20歳代が約52%であったが,40歳代以上も約36%を占め,幅広い年齢層が利用していた。運用期間中にはPC・携帯情報端末からのアクセスがあり,情報が投稿・閲覧されていた。(3)利用者へのアンケート調査,アクセスログ解析を基に運用評価を行った。前者では,投稿情報分類機能や災害時支援施設の確認機能により情報の識別・確認が容易だったことと,災害発生時でも主として屋外の利用者の携帯情報端末向けに災害情報を提供し,本システムを減災対策のための手段として利用できる可能性があることが明らかになった。また本システムの利用により減災につながる防災意識の向上が見られ,今後の利用希望が多かったことから,本システムは目的どおりに継続的に利用されることが期待できる。後者では,運用期間中を通じて継続的にアクセスされ,181件の災害情報が調布市全域に分散して投稿されていたことが示された。

収録刊行物

  • 社会情報学

    社会情報学 3 (1), 17-30, 2014

    一般社団法人 社会情報学会

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