中世社会における信仰のイマジネーション・ヴィジョナリー

書誌事項

タイトル別名
  • Visionary Imagination in the Apocryphal Discourses of Medieval Times
  • 中世社会における信仰のイマジネーション・ヴィジョナリー--「当麻曼荼羅縁起絵巻」と生身信仰
  • チュウセイ シャカイ ニ オケル シンコウ ノ イマジネーション ヴィジョナリー タイマ マンダラ エンギ エマキ ト ショウジン シンコウ
  • ――「当麻曼荼羅縁起絵巻」と生身信仰――

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抄録

<p>本発表では、中世社会の信仰がどのようなイマジネーションに支えられ、どのようなものを幻視させるのかについて考えてみたい。</p><p>ジュリア・クリステヴァは近著、Cet incroyable besoin de croire (Bayard, 2007) [This Incredible Need to Believe, 2009] で、信じること、信仰することについて論じ、信じるということは、それを真実と捉えるという意味だと述べている。多くの場合、宗教的な信仰は、とても信じ難いエピソードの集積の上に成り立っている。さらに、その真実性を補強するために経験譚や目撃譚などがあらわれる。信憑性への希求が結果としてますます信じられそうもないエピソードを上重ねしていくことになる。とくに信憑性をめぐるエピソード群は、一般に正典化されたものにたいして、外典的なものを派生させていく。正典は、外典を排除しようとするが、かえって外典的なものがさらに強い信仰に支えられて生き延びさせてしまう。本発表では、外典的エピソードのなかから、それらの体験という想像における見ることとしてのヴィジョナリーをめぐってうみだされた物語の視覚的イメージと語りとの関係について考える。</p>

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 60 (4), 16-27, 2011

    日本文学協会

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