<日本への回帰>における天皇制 : 「虹を追ふひと」「天に怒る」再読、そして「日清戦争異聞(原田重吉の夢)」(日本文学と天皇制,文学の部,<特集>日本文学協会第44回大会報告)

書誌事項

タイトル別名
  • Tenno System in the "Recurrence to Japan" : Re-reading of "Niji-o-ou-hito"(the Person who Chases the Rainbow) and "Ten-ni-Ikaru"(Anger towarad Heaven); and "Nisshin Senso Ibun(Harada Jukichi's Dream)"(Japanese Literature and Tenno System The Part of Literature,<Feature Articles>The Reports from the 44th Conference of Japanese Literature Association)
  • <日本への回帰>における天皇制--「虹を追ふひと」「天に怒る」再読,そして「日清戦争異聞(原田重吉の夢)」〔含 討論〕
  • ニホン エ ノ カイキ ニ オケル テンノウセイ ニジ オ オフヒト テン

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説明

「虹を追ふひと」と「天に怒る」を再読し、そこに作者の年齢意識を超える時代意識を読み取り、<天皇制>とクロスしつつ萩原朔太郎が<日本への回帰>へどのように向かったかを検証しようとしたものである。 《永世輪廻》と《新生体験》は、「天に怒る」では《宿命》と《超人思想》に意識し直され、<対話>と<独白>という形式をとることにより、日本と東洋(アジア)への親和と異和と、無限の彼岸としての西洋幻像を自己矛盾として構造的に含み込むのである。この自己分裂の矛盾は、<天皇・皇室>に対してもみられる。「日清戦争異聞(原田重吉の夢)」には、国家的奸計を見破る批評意識、日本の近代化がとった形を無化する批評性が示されている。だが文化的情趣としての宿命観にどれほど批評の刃が突きささっていたか。気味悪くねばりつく宿命を自己の<生理>として詩に表わしてきた朔太郎の意義を確認しつつ、自己分裂の矛盾を再検討しなければならない。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 39 (3), 32-42, 1990

    日本文学協会

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