動乱期の歴史叙述 : 『太平記』巻二十九の桃井入京記事をめぐって

書誌事項

タイトル別名
  • The Troubled Descriptions of the Troubled Times in Taihei-ki
  • ドウランキ ノ レキシ ジョジュツ タイヘイキ マキ 29 ノ モモイニュウキョウ キジ オ メグッテ

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抄録

本来の『太平記』巻二十九の桃井軍入京記事は、代表的な古態本とされる西源院本がそうであるように、次の展開となる桃井敗北を直截的に予告するような構成であったと考えられる。しかし神宮徴古館本では、そこに桃井擁護が増補されることによって、巻二十三の光厳院評や巻二十五の夢窓疎石評と同様の、褒貶並列形式の記事になっている。その結果、作中には相異なる主義主張の錯綜状況が現出するわけであり、これは南北朝時代の世相を写し取る方法として注目される。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 49 (10), 44-52, 2000

    日本文学協会

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