消される語り、聞きとられない語り(<特集>これからの文学教育の地平)

書誌事項

タイトル別名
  • Silenced Narration, Unheard Narration(<Special Issue>The Perspective of Teaching Literature)
  • 消される語り、聞きとられない語り
  • ケサレル カタリ キキトラレナイ カタリ

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説明

最近、わたしの教材研究にたいして二つのコメントがなされた。ひとつは「『サーカスの馬』をどうよむか」にたいする千田洋幸氏の批判的なコメントである。いまひとつは「罪は許されないのか」にたいする田中実氏の共感的なコメントである。この二つのコメントを読んで私が進行中の国語・文学教育論争に巻き込まれていることを知った。本稿はこれらコメントにたいする私の短い応答を提出し、論争の焦点のひとつである「語り」についての私の考えをのべたものである。その際、説明的文章「クマに会ったらどうするか」と文学作品「高瀬舟」を素材にして、国語科教育が語りを消し、語りを封じこめるものであること、それらによって体制にとって『義』あるもののみを読み取らせ、体制にとって効率的な言語スキルだけを習わせるものとなっていることを明らかにした。そして、語り手との対話をつうじて批判的に世界を立ち上げていくような「読み」をこれに対置した。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 53 (8), 2-10, 2004

    日本文学協会

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