二〇〇〇年代の<文学>と読者(<特集>日本文学協会第63回大会文学研究の部(第二日目) 共同制作される世界-<文学>の混沌に向き合う-)

書誌事項

タイトル別名
  • The Literature and Readership of the 2000s(<Special Issue>The 63rd JLA Conference (2nd Day): Literature as a Place of Cooperation: Facing Literary Chaos)
  • 二〇〇〇年代の<文学>と読者
  • 2000ネンダイ ノ ブンガク ト ドクシャ

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抄録

二〇世紀末、文学の停滞がいわれる時期がありました。しかし二〇〇〇年代に入って、「もしかして文学は流行ってる?」と思われる現象も散見されるようになりました。片山恭一「世界の中心で、愛をさけぶ」や、綿谷りさ「蹴りたい背中」のようなミリオンセラーが生まれたり、ケータイ小説が爆発的にヒットしたり。最近のトピックスでいえば、「蟹工船」のまさかのヒットなどがあげられましょう。いずれにしても旧来の文学観では測れないような事態が起きていることは確実で、それは二〇〇〇年代にデビューした作家たちの作風にも反映しています。マンガやゲームなど、文学に対する他メディアの影響がしきりにいわれたのは八〇年代ですが、近年ではそれはもう「当たり前」すぎて、だれも指摘しなくなりました。「表現形式の新しさ」と「物語内容の古さ」が同居しているように見える現在の状況を、書く側と読む側、両方の変容との問題から考えたいと思います。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 58 (4), 25-33, 2009

    日本文学協会

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