戦争と証言 : 島崎藤村『仏蘭西だより』

書誌事項

タイトル別名
  • War and Reports : Toson Shimazaki, France-dayori
  • センソウ ト ショウゲン シマザキ トウソン フランス ダヨリ

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説明

本稿は従来の如く「島崎藤村とフランス」のテーマのもと、「むこう(フランス)側」から比較文学的に対象を論じるのではなく、むしろそうした方法を根本的に批判しつつ、あくまで「こちら(日本)側」からの視点に拘ってみた。具体的には在仏時代の藤村の『仏蘭西だより』を、第一次大戦の現場からの<証言>として、同時代の日本の新聞報道と交差させつつ論じた。それによって海の彼方で生じたこの<戦争>が、新聞の中でどのようなイメージとして組み立てられ、それに藤村の言説はどう関わったのかが見えてくるだろう。また同時に、この未曾有の大戦の中で<証言>という言語行為の果たした役割についても考察してみた。それはさながら「証言の時代」として、発話の臨場性とリアリティーを求め続ける現代への、一つの問いかけともなり得るのではないか。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 46 (9), 22-33, 1997

    日本文学協会

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