『狭衣物語』における様式美と語り : アレゴリーの在処をめぐって

書誌事項

タイトル別名
  • The Narrative Style of Sagoromo-monogatari : The Function of Allegory
  • サゴロモ モノガタリ ニ オケル ヨウシキ ビ ト カタリ アレゴリー ノ アリカ オ メグッテ

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抄録

『狭衣物語』の男君狭衣が、和歌・漢詩句・法文を朗詠もしくは読誦する声と姿は、近侍する者から賞賛をもって見つめられ、聞かれていたという物語内事実がある。本稿は、こうした狭衣の様式美をめぐる語りが狭衣の孤を際だたせ、形態として「ひとり」であることを表明しつつ、それが読者にだけわかる情報の提供の場であったことに着目した。狭衣の存在の根元と行く末を同時に問うこれらの言説は、アレゴリーと置換される。狭衣の様式美を支える言説が寓意を含んでいると読むことができるのが、読者のスタンスである。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 52 (9), 11-18, 2003

    日本文学協会

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