落窪の君をとりまく臭気と通過儀礼

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タイトル別名
  • The "Smelling" Initiation of Ochikubo-no-Kimi
  • オチクボ ノ キミ オ トリマク シュウキ ト ツウカ ギレイ

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抄録

平安時代中期に成立したとされる継子いじめの物語『落窪物語』の女主人公・落窪の君は、継母の企みによって幽閉され、夫・道頼との間を引き裂かれそうになるが、道頼による救出後は、実父と夫側、双方の<家>の成員として貴族社会に認知され、確固たる位置づけを獲得する。通過儀礼の空間に相当する幽閉部屋に繰り返し語られている「くさし」に着目し、臭気「くさし」が、実父の<家>における永続的な排除と支配からのがれ、夫のもとで、周囲に認知されゆくための試練の香であることを明らかにする。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 54 (9), 12-20, 2005

    日本文学協会

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