言葉を奪われた動物 : 大江健三郎「飼育」をめぐる江藤・三島の批評の問題点

書誌事項

タイトル別名
  • To Those Who Can't Speak : A Critical Review of Jun Eto's and Yukio Mishima's Reviews on "Shiiku"
  • コトバ オ ウバワレタ ドウブツ オオエ ケンザブロウ シイク オ メグル エトウ ミシマ ノ ヒヒョウ ノ モンダイテン

この論文をさがす

説明

本稿は、大江健三郎の「飼育」を、動物として殺される黒人兵の側から読み直す試みである。江藤淳は、近代主義の立場から、主体になれないものの排除を正当化し、三島由紀夫は、反近代主義の立場から、動物の死の瞬間に存在の連続性の開示を見て取ろうとした。しかし、「飼育」の内在的な読解から導出される反復と境界攬乱の主題は、共通の言葉を持たないもの、不在のものとの関係の重要性を提起する。この主題の捉え損ねは、六〇年代の江藤・三島の言説への批判的視座を提供するものである。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 59 (6), 34-43, 2010

    日本文学協会

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ