江戸東京落語「八つぁん熊さん」の名の成立背景とそのルーツ(投稿広場)
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- 香取 久三子
- 法政大学法学部
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説明
私はこの論文で、江戸東京落語の主人公「八五郎・熊五郎」の名の由来や、キャラクターとしての系譜について考察した。「八五郎・熊五郎」の名が落語の人物の名として定着したのは明治後期だった。ではなぜ、それらの名が落語の人物の名に抜擢されたのか。名に使われる語に注目すると、「八」も「熊」も「五郎」も皆神性を帯びているとされる語である。そういった「神霊に近い」ことを示す名が笑話の主人公につけられるのは、日本宗教が笑いと密接な関係にあり、人々が神仏に親しみを感じていたことが大きな理由であろう。又、「八五郎」という名を持つ実在の人物の中には、身分の高い武士もいた。明治期の庶民は、彼らに対する皮肉の意味で、「八五郎」という名の人物の滑稽な言動を笑ったという説もある。何れにせよ、「八つぁん熊さん」は一般的イメージとは裏腹に複雑な背景を持っており、その「成り立ちの複雑さ」は彼らを息の長いキャラクターにした要因であると思う。
収録刊行物
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- 笑い学研究
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笑い学研究 9 (0), 133-140, 2002
日本笑い学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205780106368
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- NII論文ID
- 110002696774
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- ISSN
- 24239054
- 21894132
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可