文禄・慶長の役を記憶する : 「復古」/「維新」の前提としての武家説話(<特集>近世文学にとっての<歴史>)

書誌事項

タイトル別名
  • The Hindsight of Toyotomi-Hideyoshi's Invasion of Korea in the Early Modern Times : A Shift in Historical Discourses on the Eve of the Imperial Japan of the Meiji Period(<Special Issue>The "History" of Early Modern Literature)
  • 文禄・慶長の役を記憶する--「復古」/「維新」の前提としての武家説話
  • ブンロク ケイチョウ ノ エキ オ キオク スル フッコ イシン ノ ゼンテイ ト シテ ノ ブケ セツワ

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抄録

ペリー来航前後から安政の大獄あたりまでの、武家説話や、志士の言説における秀吉の朝鮮攻略について検討した。文化・文政期には昌平坂学問所の古賀[トウ]庵が、はやく秀吉のこの戦争の非倫理性を認めつつ、諸外国に示した「武威」の点で評価していたが、幕末になると秀吉の雄大な志を評価する方に傾き、そうした認識は、儒学・国学・洋学・水戸学の垣根を越え、漢文武家説話から絵本読本にまで確認できた。さらに、水戸学の影響を受けた吉田松陰により、秀吉の戦争の「正当性」は、天皇存在の聖性から理念化され、より具体的に大陸進出の膨張策が主張された点で、近代のこの戦争の評価と実際のアジア侵攻にリンクするものであったことを確認した。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 59 (10), 57-66, 2010

    日本文学協会

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