大学におけるプロジェクト型Essay Writing 教育の方法と意義

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  • Project-based Essay Writing Education at the Japanese University: Its Method and Pedagogical Significance
  • ダイガク ニ オケル プロジェクトガタ Essay Writing キョウイク ノ ホウホウ ト イギ

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抄録

 国際的な相互依存と相互理解の必要性が高まる現在、2003年に文部科学省が「英語を使える日 本人育成のための行動計画」を発表したことは、日本の英語教育に明確な一つの道筋を示した点 で大きな影響力があった。以来、大学英語教育においても、大学生の学力・関心・専門にふさわしい大学教育として、真に意義のある英語教育のあり方が積極的に模索されている。コミュニケーション能力としては、大学では、実社会の場で必要とされる日常的英語力だけでなく、英語で考え、英語で意見表明のできる口頭表現力と文章表現力を養うことが重要である。これは英語表現力の養成にとどまらず、思考法の訓練として学生の知的成長に寄与する点でも意義があり、さらに自己表現の経験の蓄積が学生のアイデンティティー形成にも役立つのである。 <br> 本稿では、上述のような教育的意義を生み出すことを目的とした、大学生向けの英語による文章表現力教育法について論じる。第2言語としての英語による文章表現教育法は、第2次世界大戦後にアメリカにおいて発達し、英語を第2言語として教育する諸外国に広まった。筆者はこのアメリカ方式のスタンダードな教育法を応用しながら、日本の大学生の思考力と表現力を養成する独自の通年のプロジェクト型教育法を考案した。これはProject V と名づけた北里大学1年生向けの英文Essay Writing 教育で、次の5つの特色があることを本論において明らかにする。 <br>(1) 順序立って組み立てられた種々の課題を長期間に渡って一つずつ完成していくことで目標を達成するプロジェクト型学習である。 <br>(2) 「情意フィルター」を低くしWriting への動機付けを高めるための工夫があり、特に映画作品と関連付けたEssay 課題に特徴がある。 <br>(3) 発想法や考えのまとめ方、文章全体の構成法の学習は、単にEssay Writing 法としてだけでなく、アカデミック・リテラシーとしても意味を持つ。 <br>(4) 授業がディスコース・コミュニティーとして機能し実践共同体となることが学生のWriting活動への積極性を高める。 <br>(5) 人間性、社会、文化、言語に関わる課題トピックへの取り組みを通じ、学生の人間的成長や <br> アイデンティティー形成に寄与することができる。

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