東京23区における空巣の認知件数の軌跡分析 (課題研究 犯罪・非行の量的・質的変化動向)

書誌事項

タイトル別名
  • A Trajectory Analysis of Residential Burglaries Known to the Police in the Central 23 Wards of Tokyo (Symposium: The Trend of Crime and Delinquency-Changes in Quantity and Quality in Contemporary Japan-)
  • 東京23区における空巣の認知件数の軌跡分析--セミパラメトリック混合ポアソンモデルによる検討
  • トウキョウ 23ク ニ オケル アキス ノ ニンチ ケンスウ ノ キセキ ブンセキ セミパラメトリック コンゴウ ポアソン モデル ニ ヨル ケントウ
  • セミパラメトリック混合ポアソンモデルによる検討
  • An Examination with Semiparametric Mixed Poisson Models

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抄録

本研究は,東京23区内で1996年から2005年までの10年間に発生した空巣の地理的分布の軌跡を,セミパラメトリックな混合ポアソンモデルによって検討するものである.データは,警視庁に認知された空巣の公式記録である.これらの事件記録はアドレスジオコーディングによってディジタル地図上にマッピングされ,ついで3.133の町丁目ごとの犯罪の計数データセットにまとめられた.SASの軌跡分析プロシジャであるProc Trajがこのデータセットに適用され,従属変数の確率分布としてはゼロ強調ポアソン分布が,軌跡の形状としては2次曲線が想定された.主たる知見は以下のとおりである.1.BIC (Bayesian Information Criteria)による逐次的なモデルの適合度の検討により,16の軌跡グループが検出される.2.これらの軌跡グループの多くは,2001年前後をピークとする逆U字型の形を示すが,一部に,10年間にわたる減少傾向や増加傾向を示す軌跡グループも見られる.3.軌跡グループのうち3つは,とくに高いピーク時の犯罪水準と強い逆U字形の軌跡形状を示す.これらの軌跡は,ピッキングと呼ばれる新たなタイプの手口の犯罪の急増・急減や,犯罪率の増加を受けて実施された犯罪防止の取り組みの影響を反映したものと思われる.4.16個の軌跡グループうち2つは,この10年間にわたって緩やかに上昇する犯罪の軌跡を示している.これらの軌跡を示す町丁目には,空間的に相互に近接する傾向が見られる.これらの結果は,今後,これらの地区から犯罪リスクの高い地区が出現する可能性があり,犯罪動向を注意深く見守るべきであることを示唆している.

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被引用文献 (1)*注記

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