鎌倉時代における仮名文書の「とん」 : 固定的連綿

書誌事項

タイトル別名
  • "とん" of Kana Documents in Kamakura Period : Fixed Binding
  • カマクラ ジダイ ニ オケル カナ ブンショ ノ 「 トン 」 : コテイテキ レンメン

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説明

これまで、芸術的要素を含む写本資料においては、多くの表記研究が為されてきた。その一方で、消息・文書といった実用的な資料を対象とした表記研究は、あまり蓄積されてこなかったように思われる。そこで、鎌倉遺文所収の仮名文書を採り上げ、「とん」の表記に着目し、実用的な書記実態の一端を明らかにする。鎌倉遺文における「ん」は、撥音・促音の表記の他、モの異体字としても使用される。「ん」がモの異体字として使用されるのは、「とん」という文字連続に限定され、必ず連綿で表記されることで、「ん」がモの異体字だと判読できる。また、連綿で表記された「とん」という文字連続は、必ずしも語や文節など意味とは対応しない。これを「固定的連綿」と呼ぶ。「固定的連綿」は「とん」以外の文字連続にも認められ、書記者の居住地域や性別・身分に左右されない、鎌倉時代における書記法の一つと捉えられる。

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