J.A. コメニウス『遊戯学校』における世界構造 : 世界の中の学校/学校の中の世界

書誌事項

タイトル別名
  • The Structure of the World in the Schola Ludus of J.A. Comenius : the School in the World/the World in the School
  • J A コメニウス ユウギ ガッコウ ニ オケル セカイ コウゾウ セカイ ノ ナカ ノ ガッコウ ガッコウ ノ ナカ ノ セカイ

この論文をさがす

抄録

近代教育においてコメニウスは、レトリック教育と相反する事物主義の祖として位置づけられてきた。しかし、彼の脚本形式の著作『遊戯学校』は、事物提示の表象機能と修辞学的な語りの機能という二側面を含み込むテクストであった。本論は、一七世紀当時の演劇や修辞学の再編という文脈の中に『遊戯学校』を置き直すことで、そこ描かれている世界構造(事物・学校・人間・宗教の四世界)を明らかにする。『遊戯学校』において世界の構図(扱われる諸事物・空間構成)と、その示され方(対話・独白、アレゴリー的擬人化等)は密接に関わっており、<学校>場面の特徴的な入れ子構造の背景には、世界を学校として捉えるコメニウスの思想があった。また、『遊戯学校』は伝統的なレトリック教育における対話実践を引き継ぎつつも、当時の修辞学教育が、擬似-法廷弁論や書簡の書き方等、公共生活と社交に向けられた訓練だったのに対し、『遊戯学校』は「世界を表象」することに向けられている点で、独特なものであった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ