すべての時代は、それに続く時代を夢見ている : 青柳氏のマルクス解釈とベンヤミン(コメント論文,フォーラム1 マルクス主義からマルクスへ-いわゆる「全面的発達」の批判的検討)

書誌事項

タイトル別名
  • Each Era Dreams the Following One : Aoyagi's Marx-Interpretation and Benjamin
  • コメント論文 すべての時代は、それに続く時代を夢見ている : 青柳氏のマルクス解釈とベンヤミン
  • コメント ロンブン スベテ ノ ジダイ ワ 、 ソレニ ツズク ジダイ オ ユメミテ イル : アオヤギ シ ノ マルクス カイシャク ト ベンヤミン

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抄録

本稿は、ベンヤミンを中心としてフランクフルト学派に親しんできた筆者が、青柳氏の報告に触発された、「青柳氏が取り出したマルクスの問題意識は、ベンヤミンのそれと響き合うものがあるのではないか」という直感を検証することを目ざしている。そのために、『青柳論文』を導きの糸として、(1)マルクスは労働主体の完成を未来に想定しなかったように、ベンヤミンもまたそれに向かっての直線的進歩を信奉するマルクス主義に異議申し立てをした。(2)機械制大工業を所与の事実として認めたうえで解放戦略を練ったマルクスと同様に、ベンヤミンも技術の進歩を否定せず、その成果に基づく労働主体の解放を目ざした。(3)両者はともに、機械制下の労働という現在にこそ解放の萌しを見ていた、というテーゼをベンヤミンの『複製芸術論』とエッセーに解明した。さらに、今日マルクスを読むことの可能性を、『ドイツ悲劇の根源』のアレゴリー論を手がかりにして考察した。

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