マルクス主義からマルクスへ : いわゆる「全面的発達」の批判的検討(報告論文,フォーラム1 マルクス主義からマルクスへ-いわゆる「全面的発達」の批判的検討)

書誌事項

タイトル別名
  • From Marxism to Marx : A Critical Examination of the So Called "All-Round Development"
  • マルクス主義からマルクスへ : いわゆる「全面的発達」の批判的検討
  • マルクス シュギ カラ マルクス エ : イワユル 「 ゼンメンテキ ハッタツ 」 ノ ヒハンテキ ケントウ

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抄録

マルクスが「資本論」において「全体的に発達した個人」という表現を用いたとき、彼がその表現によって表現しようとしていたのはプロレタリアートという近代的な労働者のすがたであった。「全体的に発達した個人」という表現によってマルクスは富一般の創造手段としての労働の主体とされているプロレタリアートのすがたを批判的に把握しようとした。マルクスにおいて「全体的に発達した個人」とは機械制大工業の発展の結果として必然的に現れる人間像を記述したものであり、意識的にその実現をめざすべき教育目的などではなかったのである。マルクスは自由時間を享受した主体は労働時間においても単なる労働の主体ではない「別の主体」になると考えていた。そして、労働者の「別の主体」への転化すなわち人間の解放は、資本制的生産関係の下での機械の発展のなかで既に密やかに始まりつつあると考えていたのである。

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