日本体育学会の歩みからみたこれからの論点と課題

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抄録

<p> 本学会は、1949年施行の“体育を必修とする新制大学”が要請する体育の学問化に応じるべく設立された。この設立経緯からして、本学会が“教育目的を前提する研究”に焦点を合わせてきたのは、当然のことであった。しかし1991年の大学設置基準の改正(いわゆる大綱化)は必修体育を担保せず、これが本学会のその後の活動に影響を及ぼしてきた。この影響は、ふつう悲観的に語られる。体育と体育研究とが、これが生まれた明治以来もっぱら教育それも国家の義務教育という庇護の畑で育ってきた背景から出るものであろう。棲み慣れた居心地の良い世界から足を踏み出す時かもしれない。むしろ、研究市場が大きくなったと喜ぶべきかもしれない。国の教育を担う在り方はなおも重要ながら、同時に、これまで経験しなかった大きくグローバルなスポーツ・健康市場が待っている。この魅力的な研究マーケットにいま本格参入するについて、さて本学会が心得ておくべきは、空中分解しないよう“教育目的を前提しない研究”を展開する諸専門領域研究をどのように統合するか、その理論武装であろう。これは、実のところ、たびたび論じられた問題ながら、いまこそ現実味を帯びているのである。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205813899136
  • NII論文ID
    130006351681
  • DOI
    10.20693/jspehss.68.11_1
  • ISSN
    24241946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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