日本人学習者におけるイタリア語の冠詞習得について : 対照言語学的アプローチおよび教授法の諸提案

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  • L'apprendimento dell'articolo italiano in studenti giapponesi : un approccio contrastivo e alcune proposte didattiche

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本稿は、イタリア語における定性概念の習得の難しさとそのプロセスに関して、初心者から上級者に至る日本人学習者のinterlanguageによって示されたデータを数量的・質的に分析しながら、検討し、分類することを目的としたフィールド・ワークを基礎としている。Giacalone Ramatなどを始めとする近年の多くの学者たちによって示されてきた第二言語習得研究のデータは、いかなる母語の学習者もinterlanguageの発達段階において似たような状況を呈することを明かしている。しかしながら、部分的には習得は、母語からの《転移transfer》が実行されることを、いずれにせよ、示しているように思われる。L2(lingua seconda)とは、その言語を母国語としているコミュニティの中で勉強し、かつ(もしくは)、自然に習得した第2言語(ここではイタリアで習ったイタリア語)の意味である。一方、今まで行われてきた研究ではもっぱらL2としてのイタリア語がテーマになっているが、母語の参照(母語からの転移transfer)という戦略がL2に当てはまるならば、LS(《lingua straniera、外国語》:その言語がコミュニティの母国語ではない場合を指し、ここでは日本で習ったイタリア語)においては、それ以上に時宜を得たものになるであろう。長い間そして様々な機会ですでに私たちの考察の対象となってきたこのテーマに取り組むために、本稿では、対照言語学的なアプローチが採用されている。すなわち、特定の場合において、イタリア語の定性(またはその欠如)が形態論的に有標であるのに対して、日本語は《主題優勢topic prominent》言語であるため、定性の大半が、対話者たちの文脈と共通の知識に委ねられているということが示される。こうした分析の結果を基にして、イタリア語教育の分野で実証された幾つかの提案が紹介される。これらの提案は、生徒たちにおけるイタリア語の定性概念の理解を促進することができると思われる。すなわち、イタリア人のためのイタリア語の記述をそのまま繰り返すのではなく、日本人にとって解りやすい定性概念の紹介を提案している。この種の活動は、もちろん、改良することも発展させることもできるし、その母語にできるだけ近い規準を利用することによって、学習者の母語には存在しない範疇を理解する一助になると考えられる。

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