アメリカのプロパガンダ運動における批判的思考教育 : 1930~40年代を中心に

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  • Critical Thinking Education in the American Propaganda Movement. : Focusing on the 1930s and 1940s
  • アメリカ ノ プロパガンダ ウンドウ ニ オケル ヒハンテキ シコウ キョウイク : 1930~40ネンダイ オ チュウシン ニ

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抄録

本論文では,アメリカにおいてプロパガンダ運動と批判的思考教育とがどのように進められたのかについて,1930〜40年代を中心に解明することを目的とする。三つの課題に即して,以下の点が明らかになった。第一に,プロパガンダ運動が活発になった背景として,第一次世界大戦におけるウィルソン大統領による広報委員会(CPI)の設立がある。大戦後はバーネイズのように,戦争だけでなく商業広告とともに大衆を説得する手段としてプロパガンダ運動は進展した。第二に,ビドルは自分の考えを持たないもしくは固執した自閉的思考から,批判的思考への成熟の過程を,個人的段階,家族的段階,社会的段階の三つに整理した。また批判的思考指導の方法として,組織された無批判的思考への抵抗を準備することを強調した。第三に,ジュウェットはミネソタにある四つの高等学校において,異なるプロパガンダを含む記事を識別する教授が可能かどうかについて検証した。その結果,実験群の方が統制群に対して有意に効果があった。以上のように,この時期の批判的思考指導は独自の内容および方法であり,しかも情報を自ら分析,判断して誤りを指摘するという点で,「批判的」の意味をふまえた指導が行われていた。

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