原爆死没者との向き合い方 : 継承の実践としての被爆体験の語りに着目しながら

  • 八木 良広
    慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程

書誌事項

タイトル別名
  • How the Hibakusha Have Built Relationships with Other Victims of the Atomic Bombings in Hiroshima and Nagasaki : An Analysis of How the Hibakusha Share Their Experiences with Young People
  • ゲンバク シボツシャ ト ノ ムキ アイカタ ケイショウ ノ ジッセン ト シテ ノ ヒバク タイケン ノ カタリ ニ チャクモク シナガラ

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抄録

本稿の目的は、体験継承の実践の一つとして遂行されてきた被爆体験の語りについて再考することにある。原水爆禁止運動誕生以来、核廃絶の社会や国家補償に基づいた援護政策の実現などを目指し行われてきた被爆体験を語るという実践は、一方では実際に多くの理解者、支援者をうみながらも、他方では主に非被爆者の無理解や、「体験の聖性と特権性」「特権意識」といった批判にさらされてきた。近年体験世代の語り手の高齢化及び死から実践が不可能になりつつあることに対して次世代へ継承するという意味合いがより顕著になってきているが、ここでは改めて語る側に着目し後者の無理解や批判を参照しながら体験の語りを捉えることで、被爆者が一貫して取り続けてきた原爆死没者に対する一つの姿勢を浮き彫りにする。それは語りがいかなる付置状況で行われているかを示す重要な要素である。これを考察するに際しては被爆者運動の前線で活躍している一人の被爆者のライフストーリーを参照項としている。

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