大阪の「笑いの文化」について : 大阪人の生活文化と笑い

DOI
  • 井上 宏
    日本笑い学会会長・関西大学名誉教授

書誌事項

タイトル別名
  • Osaka and Culture of Laughter : Osaka People's Lifestyle and Laughter
  • オオサカ ノ ワライ ノ ブンカ ニ ツイテ オオサカジン ノ セイカツ ブンカ ト ワライ

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抄録

大阪とはどんな街なのか、「文化」の側面から考えるとき、「笑いの文化」を抜きにして大阪を論じることはできない。大阪では、漫才や落語、喜劇などの「笑いの芸能文化」が盛んであるばかりでなくて、大阪人の生活のなかに、暮らしの仕方の中に「笑い」が織りこまれている。大阪弁をはじめとして、大阪人の生活態度、価値観、ものの考え方の中に「笑いの文化」が一貫して流れていると言ってよい。大阪は、「サムライ社会」におけるように、「笑い」を軽蔑することなく、むしろ「笑い」を奨励する文化を発達させてきた。その発達の理由は、大阪が江戸時代から一貫して「商人社会」として発展をみてきたことにあると思われる。そこに商人たちのライフスタイル、生活文化が生まれたわけである。まずは大阪人が発達させた大阪弁があげられる。商人は、「交渉する」ことが日常の生業としてあって、大阪弁を使ってそれを円滑に行ってきたわけである。当然のこととして「 口の文化」が発展する。しかも商いは厳しい「競争関係」のなかで行われるので、競争からくる緊張や対立は、笑いによって緩和する必要がある。人と人との距離をできるだけ近くにとっていこうとするとき、笑顔や笑いは欠かせない。洒落やジョーク、笑わせるための方法も発達する。毎日の生活の中に笑いがあり、笑いのある生活文化が発達をみた。大阪人の生活文化と笑いとの関係を追跡した。

収録刊行物

詳細情報

  • CRID
    1390001205947238272
  • NII論文ID
    110009564771
  • NII書誌ID
    AA11666921
  • DOI
    10.20791/ksr.5.0_57
  • ISSN
    24239518
    13474057
  • NDL書誌ID
    8619495
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • NDL
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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