宗教の享楽とは何か : ラカンによる「享楽の類型学」から

書誌事項

タイトル別名
  • Qu'est-ce que la jouissance religieuse? : Une typologie des jouissances chez Jacques Lacan
  • シュウキョウ ノ キョウラク トワ ナニカ ラカン ニ ヨル キョウラク ノ ルイケイガク カラ

この論文をさがす

抄録

さまざまな宗教現象において、「享楽」と呼ぶべき何かがあると考えうる時点は少なくない。宗教の享楽とは何か。この問いに答えるための予備考察として、ジャック・ラカンの晩年に見られる「享楽の類型学」と呼びうる部分を簡潔に整理し、享楽の定義から始めて「絶対的享楽」「二つのファルス的享楽」および「対象aの剰余享楽」という、いくつかの享楽の類型を提示する。そして、それらの概念が明らかに「宗教的」なものと関係があり、宗教現象分析のための概念として使用可能であることを指摘する。また、彼が最後に提出した「大他者の享楽=女性の享楽」が、他の享楽を「超過する」ものであるばかりか、神秘家の伝統に関わるものとして、精神分析自体の「歴史的限界」を露わにすることを呈示する。

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 81 (1), 47-68, 2007

    日本宗教学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ