神話的世界と菩薩 : 本居宣長の「真心」論を手がかりに(<特集>神仏習合とモダニティ)

書誌事項

タイトル別名
  • The Mythological World and Bodhisattvas : Clues in Motoori Norinaga's Statements about "Magokoro"(真心)(<Special Issue>Shinbutsu Shugo and Modernity)
  • 神話的世界と菩薩--本居宣長の「真心」論を手がかりに
  • シンワテキ セカイ ト ボサツ モトオリ ノリナガ ノ マゴコロ ロン オ テガカリ ニ

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抄録

この論文の狙いは、日本の神話的世界の中に、仏教がどのような径路を経て入り込み、どのような形で定着したのかを明らかにすることにある。神仏習合という現象についての従来の研究は、教義や制度の側面に重点が置かれがちで、信仰者の内面の問題として本質を探究した研究は数少ない。本論文は、人間精神の最深部、すなわち意識と実在との関係において、神と仏の結合が何を意味していたのかを考察する。日本神話に登場する理想的人間は、神と交わる人々である。彼らに共通する特徴は、激しい感情(これは和歌を詠む能力に対応する)と、生への執着(死への恐怖)である。本居宣長は、この特徴を「真心」という概念であらわした。仏教は、神話的人間の内面を、新たな知によって捉え直し、彼らの内面のある部分を深め、またある部分の不足を補うものとして登場した。そのことによって仏教は、神を信仰する精神にとって不可欠なものとして、日本に定着したものと考えられる。

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 81 (2), 309-332, 2007

    日本宗教学会

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