W・リップマンの『公共哲学』とP・ティリヒの『組織神学』をつなぐ回路 : 思想の編集・出版史的考察の可能性について

書誌事項

タイトル別名
  • W. Lippmann's "Public Philosophy" and P. Tillich's "Systematic Theology" : The Redaction-Publication History of Thought
  • W ・ リップマン ノ 『 コウキョウ テツガク 』 ト P ・ ティリヒ ノ 『 ソシキ シンガク 』 オ ツナグ カイロ : シソウ ノ ヘンシュウ ・ シュッパンシテキ コウサツ ノ カノウセイ ニ ツイテ

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抄録

リップマンの『公共哲学』は自然法的な伝統に基づいた「公共哲学」の再構築の提案であったと言ってよい。しかしなぜそのような「公共哲学」にティリヒが引用されるのか。自然法的な伝統の再構築による公共哲学の形成であれば、カトリック的な思想の伝統に注目するのが一般的だからである。そこで本論では、「公共哲学」のテクストにおける両者の関係を検討する。その上でさらにテクストの外部における情報をもとにこの問いを検証する。その際注目したい外部の情報とは、思想形成における編集者、あるいは編集者としての役割を担う者の存在である。前者は、従来の両者の思想の比較や関連性の検討であるが、後者では、それを超えて両者の思想を繋ぐいわば「知のプロモーター」を想定し、その上で両者の思想的連関やテクストの関連性を検討する。後者の考察から引き出される結論は、両者を繋ぐ編集者としての機能を果たしたのはアングリカンの神学者アンガス・ダンとシカゴ大学出版会の編集者アレキサンダー・J・モリンであったということである。

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 89 (1), 1-25, 2015

    日本宗教学会

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