醤油釀造用麹菌比較試驗 (第四報)
書誌事項
- タイトル別名
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- The Camparision of several kinds of Aspergillus oryzae for syoyu brewing. Part IV.
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説明
1) 醤油麹菌の培養上の性状を比較し, 更に簡單なる化學的性質を試驗して優劣性を比較對照したり。<BR>2) 大豆麹消化に於て色度に於て可なり麹菌株により差異を認めたり。酸度は甚しく差を示し就中208號の如きは却つてアルカリ性を呈したり。アミノ酸の集積多少の相違あるも甚しからず, 糖分の集積208號菌は可なり著しく最少を示したるものゝ三倍量にも達したり。アミラーゼの沃度反應による強弱と糖分集積とは併行せざる結果を示したり。<BR>3) 麹菌を麹液に培養して特異性を檢したるに, 酸生成に可なりの差異を認め (福) 甲の如く消費するも殆と生威を示さゞる208號の如きものもあり。麹酸は一・二を除き大體生産を示しアミノ酸は大體消費せらるゝもの大部分なり。<BR>4) 大豆乃小麥の混合麹を各麹菌により造り, 此れを防腐劑を添加の下に消化し液の着色, アミノ酸糖分の集積状態を見るに芽胞子着生の多少には消化液の着色に余り影響なし, 芽胞子多生せざるも着色するものあり。アミノ酸の集積は一・二を除き余り差異を表はさず, 糖分は多少の相違を認む。<BR>5) 麹菌體に保有せられたる蛋白質分解等はグリシニンに對しトリプシン系の酵素がよく作用し力として三分の一にも達せぬものあり。グルテンに對してはグリシニン及グリアヂンに作用するより弱く, グリアヂンに對してはグリシニンに對すると同程度の作用力を示す。分解して生じたる全窒素量は麹菌により可なり相違あり。アンモニア生成はグルテン, 及グリアチンに作用したる場合は大體同傾向にあり。<BR>6) 麹菌體の澱粉糖化力にはタカヂアスターゼと同程度の作用力を示したるものあるも, 菌種に依り三分の一の力に達せぬものあり。澱粉液化は余り相違を示さず。<BR>7) 酸化酸素α-ナフトール使用の場合積極的結果を示したり。<BR>8) フキターゼ, 及インベルターゼは何れも反應を示し, 前者は多少菌種により相違を示したるも, 後者甚しき差異を示さず。<BR>9) 麹菌體のプロテアーゼの最適水素イオン濃度は中性の點に於て現はれたるもの多きも分明せず。
収録刊行物
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- 日本釀造協會雜誌
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日本釀造協會雜誌 37 (1), 80-67, 1942
公益財団法人 日本醸造協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001206049147776
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- NII論文ID
- 130004320437
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- ISSN
- 21864004
- 0369416X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可