韓国の高校生における無気力傾向と進学動機の不明確性との関係

書誌事項

タイトル別名
  • The relationship between apathetic tendency and vagueness of motivation to go on to college in Korean high school students.
  • カンコク ノ コウコウセイ ニ オケル ムキリョク ケイコウ ト シンガク ドウキ ノ フメイカクセイ ト ノ カンケイ

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抄録

本研究の目的は, 韓国の高校生における無気力傾向の形成に関する因果モデルを, 進学動機の不明確性, 自我同一性, 進路未決定および親の養育態度との関係から推定することである. 韓国のソウルおよび京畿道内の高校生(男子124名, 女子128名)を対象に, 質問紙法による調査を行なった. 主な結果は以下の通りである. (1)進学動機の不明確性(以下, '不明確性'という)は男女高校生ともに自己不全感を予測する変数であることが確認された. (2)男子高校生の自己不全感は, 不明確性の他に自我同一性, 進路未決定によって規定されるが, 一方, 女子高校生の自己不全感は, 進路未決定は規定力を示さず, 不明確性の他に自我同一性, 母親の養育態度によって規定されていた. すなわち, 男子高校生の無気力傾向には, 女子に比べて進路の問題がより影響を与え, 女子高校生の無気力傾向には, 男子に比べて母親の指示・支配的な態度がより影響を与えていると予測された. (3)自我同一性は男女高校生ともに無気力傾向の消極・受動を規定する変数であり, 影響指標は女子より男子の方が高かった. 本研究を通じて明らかになった主な点は, 不明確性変数が韓国の高校生の無気力傾向を予測する変数になっているということである. その点において, 進学の際に明確な動機をもつことが青年の心理状態に重要な影響を与えるということが確認されたといえる.

収録刊行物

  • 性格心理学研究

    性格心理学研究 9 (2), 102-115, 2001

    日本パーソナリティ心理学会

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