書誌事項
- タイトル別名
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- Effects of Portfolio Learning Approach on Students' Social Skill Modification in University Physical Education Classes
- 大学体育によるソーシャル・スキル変容の効果 : ポートフォリオ学習システムを用いた人間関係づくりを目指した体育授業
- ダイガク タイイク ニ ヨル ソーシャル ・ スキル ヘンヨウ ノ コウカ : ポートフォリオ ガクシュウ システム オ モチイタ ニンゲン カンケイズクリ オ メザシタ タイイク ジュギョウ
- ―ポートフォリオ学習システムを用いた人間関係づくりを目指した体育授業―
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説明
<p>現在,日本の大学生の対人関係の問題が深刻化している.本研究では,研究Ⅰにおいて,「大学生版体育授業用ソーシャル・スキル尺度(Social Skill Scale for University Physical Education Classes:SSUPEC)の開発を行い,研究Ⅱでは,ポートフォリオ学習システムを用いた大学体育の授業実践による,大学生のソーシャル・スキル変容への効果の検討を行った.</p><p>研究Ⅰでは,2010年4月に,日本人大学生447名(男性=212名,女性=235名,平均年齢=19.58歳,SD=1.35)を対象に,質問紙調査(基本的属性,体育授業用ソーシャル・スキル尺度24項目)を行った.探索的因子分析,信頼性分析,検証的因子分析の結果,「大学生版体育授業用ソーシャル・スキル尺度(SSUPEC)」は,4因子構造(各4項目の合計16項目)であり,尺度の信頼性及び構成概念妥当性においては,統計学的に許容範囲であることが示された.</p><p>研究Ⅱでは,383名の学生を実験群と統制群の2群に分け,2010年の4月(pre−test)及び7月(post−test)の2度において,質問紙調査による比較検討を行った.具体的には,実験群は,スポーツ実技(バスケットボール)を履修している学生(男性=48名,女性=39名,平均年齢=20.04歳,SD=1.30)とし,統制群は,講義科目(健康とスポーツの概論)を履修している学生(男性=130名,女性=166名,平均年齢=19.46歳,SD=1.35)であった.スポーツ実技科目であるバスケットボールのクラスを履修している学生は,ポートフォリオ学習システムを導入した学習方法での授業を受講し,講義科目である健康とスポーツ概論を履修している学生は,通常の教室で行われる座学スタイルでの授業を受講した.両クラスでの調査対象者は,基本的属性(学部,学年,性別,年齢,スポーツ実技科目受講中の有無等),「大学生版体育授業用ソーシャル・スキル尺度(SSUPEC)」,「大学生版体育授業用効用認知尺度(Effective Cognition Scale for University Physical Education Classes:ECSUPEC)」,「大学生版体育授業用ストレス反応尺度(Stress Response Scale for University Physical Education Classes:SRSUPEC)」から構成された質問紙調査に,2010年の4月(pre−test)と7月(post−test)の2度に渡り回答を行った.入力されたSSUPEC,ECSUPEC及びSRSUPECのデータに対して,群(実験群・統制群)×測定時期(Pre−test・Post−test)の混合計画の二要因分散分析を行い,群と測定時期における交互作用が認められた場合には,Bonferroni法による多重比較検定を行った.</p><p>二要因分散分析及びBonferroni法による多重比較検定を行った結果,実験群の測定時期に有意な変化が認められた.具体的には,実験群においては,ECSUPECの下位尺度である「ダイエット効果(Diet Effect:DE),対人関係促進(Promotion for Interpersonal Relationship:PIR)」,「気分の向上(Improvement of Feelings:IF),「生活習慣改善(Lifestyle Improvement:LI)」及びSSUPECの下位尺度である「対人感情理解(Comprehension of Interpersonal Relationship:CIR)」,「対人共感能力(Attitude of Interpersonal Sympathy:AIS)」,「自己主張能力(Self−Assertion Ability:SAA)」は,授業開始段階よりも授業終了段階において,有意に低下する結果が示された.一方,SRSUPECの下位尺度である「情動的反応(Emotional Stress Response:ESR),「心理的反応(Psychological Stress Response:PSR),「行動的反応(Behavioral Stress Response:BSR)は,授業終了段階において,授業開始段階よりも有意に上昇する結果が示された.</p><p>本研究の結果より,研究Ⅰにおいては,SSUPECは,体育授業でのソーシャル・スキルの測定指標としての有効性が確認された.しかし,研究Ⅱにおいては,仮説としていた,ポートフォリオ学習システムを導入したスポーツ実技の授業参加者の「ソーシャル・スキル」,「体育授業の効用認知」及び「ストレス反応」に対する改善効果は支持されなかった.この結果は,多くの因子測定による限界であった可能性がある.今後は,ポートフォリオ学習システムによる「ソーシャル・スキル」,「効用認知」,「ストレス反応」へのメカニズムについて探索的に検討を行う必要がある.</p>
収録刊行物
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- 大学体育学
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大学体育学 9 (0), 23-41, 2012
公益社団法人 全国大学体育連合
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001206122039168
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- NII論文ID
- 110009830270
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- NII書誌ID
- AA11915538
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- ISSN
- 21898766
- 13491296
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- NDL書誌ID
- 023795527
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
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