伊豆天城地方におけるワサビ栽培の地域的展開

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タイトル別名
  • Regional Development of Wasabi Cultivation in Izu Amagi Area
  • イズ アマギ チホウ ニ オケル ワサビ サイバイ ノ チイキテキ テンカイ

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抄録

静岡県伊豆市の旧天城湯ヶ島町と旧中伊豆町は市場出荷量日本一のワサビ産地である。本研究では,両町のワサビ栽培の発展過程をふまえ,1960 年代後半以降における両町のワサビ栽培の差異を明らかにする。1960 年代前半まで両地域のワサビ栽培は類似していたが,1960 年代後半以降,栽培品種や出荷先などに大きな差異が生まれた。代表品種( マズマ) の退化により,新たな品種への転換を迫られた旧天城湯ヶ島町では,先駆的農家が実生系品種の改良,実生ワサビの出荷先を新たに開拓した。一方,旧中伊豆町では近年までマズマの伝統的な栽培を継続したが,1980 年代より退化が始まり,実生ワサビへの転換に直面している。両町の棚田状の畳石式ワサビ田景観は,文化庁による「文化的景観」の候補地となった。両町とも高級生食用ワサビの品質保持と栽培技術を維持し,文化的価値の高い畳石式ワサビ田景観を保全していくには,両町の農家間連携や行政支援が必要となるであろう。

収録刊行物

  • 地理空間

    地理空間 2 (1), 17-31, 2009

    地理空間学会

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