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- 重信 幸彦
- 北九州市立大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Discourse on the "Five Braves" of Miyako Island : A Study of a Japanese National Legend(Special Theme)
- 「美談」のゆくえ--宮古島「久松五勇士」をめぐる「話」の民俗誌
- ビダン ノ ユクエ ミヤコジマ ヒサマツ ゴ ユウシ オ メグル ハナシ ノ ミンゾクシ
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抄録
本稿は,昭和初期に主に印刷メディア上で「愛国美談」として喧伝された,日露戦争時の出来事をめぐって語られた「久松五勇士」の成立と展開を検討し、「沖縄」という場所が近代「日本」のどのような視線により語られ意味づけられたか,その政治的布置を歴史的に考察するものである。それは,近代「日本」を覆う印刷メディア群のなかを,一つの「話」が様々に文脈化されて流通するさまを通して民俗話を構成する試みでもある。まず,「美談」の素材となった歴史的逸話が,本土から赴任した国語教師に再発見され,それが中等学校用「国語読本」の教科書に教材として掲載されて全国的に流布した「美談」化の過程から,そこに,「沖縄」を覆う近代「日本」の「国語」という制度が介在していることを指摘した。さらに,この「美談」の素材なった逸話を再発見した国語教師は,「沖縄の土俗」にも興味を示し,それを積極的に喧伝していた。「沖縄」に注がれた,「美談」を発見する視線と「土俗」を対象化する視線は,ここでは極めて近い位置にあった。また,こうして「日本」という文脈をあたえられた「五勇士」は,「沖縄」生まれの研究者たちにより、昭和初期の「郷土沖縄]を語る場に取り込まれ、「沖縄」の自画像を描く要素の一つとして位置づけられる。そこには近代「日本」のナショナリズムと,「沖縄」で描き出される自画像の共犯関係を見出すことができる。そして,昭和初期に「日本」のなかの「沖縄」の「美談」として喧伝された「久松五勇士」は, 1980年代に,宮古島の久松が与那覇湾の淡水湖化計画に対する反対運動を組織していくなかで,今度は久松の「海」と「漁師の魂」を象徴するものとして再解釈されることになる。そこに,地域の結集のために既成の「美談」を脱文脈化し再利用していく,したたかな戦術を見出すことができるのである。
収録刊行物
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- 民族學研究
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民族學研究 65 (4), 344-361, 2001
日本文化人類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001206134333568
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- NII論文ID
- 110006664152
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- NII書誌ID
- AN00408358
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- ISSN
- 00215023
- 24240508
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- NDL書誌ID
- 5841800
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可